屋上緑化で失敗しないために
施工不良から鳥害まで、事前の対策がリスクを軽減します。都市緑化の普及が進むにつれ、問題も多発しています。
植物がうまく育たなかったり、せっかくの緑化が、かえって建物を傷めてしまう場合もあります。正しい知識を身につけましょう。
設計・施工不良
DIYによる屋上緑化が雨漏りを…・・・
近年、様々な園芸資材が開発されており、1m2程度の小面積緑化ならこれらを使用すれば誰でも容易に可能です。
しかし、これらを屋上やバルコニーの全面にそのまま設置すると、往々にして設置時に防水層を破壊して雨漏りを招いたり、排水管が埋まってしまい屋上が池になったり、固定が不十分で風で飛んだり、屋上の荷重制限を越えたり……といった事故を招きます。
大面積の屋上緑化は専門家に依頼しましょう。
なお、弊社のちょこっと芝生も小面積用ですから、多数を並べて幅2m以上になる場合はきちんとした工事が必要です。
造園業者が防水層を破壊して雨漏り
多くの造園業者にとって、屋上は未知の環境です。このため、屋上を傷めてしまう事故が多発しています。また、植物に詳しい造園業者であっても、屋上は特殊な環境なのでうまく植物が育たないこともあります
屋上緑化は、防水工事と植栽の双方に詳しい業者に依頼しましょう。
排水不良による雨漏り
排水溝(ドレン)に土や枯葉などが溜まると、雨漏りの原因になります。造園業社による工事の場合、排水のことを考えず、屋上の端まで土を敷いたり、排水溝を塞いだりすることがあります。
なお、排水溝を植栽の下に隠す場合、必ずドレンカバーを設置して点検・清掃が可能にしなければなりません。
パラペット立ち上がりを埋めて浸水
屋上の縁は、ある程度防水層が立ち上がっていますが、土を入れすぎると防水層の上から水が浸入して雨漏りの原因となります。
防水層自体を改修する(予算に余裕が有ればこれがお勧め)か、屋上の縁からやや離して緑化しましょう。
根による建物の破損
植物の根は、狭い隙間でも侵入し、そこで太ります。このため、根への対策をしっかりしておかないと、天井がボロボロになってしまいます。
防根層が不十分だったり、屋上の縁の措置が不完全な場合、思わぬところから根が侵入することも。
なお、工法ごとに適応する植物の種類は限られています。例えば、芝生用に作られた緑化スペースに樹木や竹を植えることは、絶対におやめください。
雑草だらけの屋上
緑化スペースが奥行き50cmを超える場合、内側まで手が届きません。除草を怠ると、一面の雑草園に。かといって緑化スペースに人が入ると、踏み付けで土が固くなり植物の成長が悪くなります。
芝生と花壇・菜園を組み合わせたり、作業用にスペースを作るなど、設計にも工夫が必要です。
ウッドデッキが腐った!
通路部分にウッドデッキを使用した場合、こまめに手入れをしないと、この写真のように数年で腐ってしまいます。また、安物のウッドデッキは釘やホチキスを使用しているため、思わぬ怪我の元になることも。
ウッドデッキのお手入れは、各商品の取扱説明書をご確認ください。
ビオトープの茹でメダカ
屋上に池を作る場合、重さの制限があるため深い池は作れません。このため、日差しが強いと池の底まで高温となり、茹でメダカができあがってしまいます。
ビオトープを作るときは、池の形を工夫し荷重を分散させたり、日よけを作るなど、事前に十分準備をすることが必要です。
「潅水不要」は信じられない
セダムや保水層完備のシステムは「10日間潅水不要」を謳っている例があります。しかし、無降雨期間が20日前後に達することは比較的頻繁にあり、「潅水装置不要」のシステムであっても、多くは結局潅水が必要になります。
弊社の屋上緑化システムは、潅水装置完備ですから、雨が降らなくても機械が水を撒いてくれます。(ただし、潅水装置の点検は必要です)
一般的な植物で20日分の水を貯めると、水だけで軽く100kg/m2の重さになります。このため、無潅水の軽量緑化は困難です。
不適切なセダムの濫用による問題
鳩の胃袋に収まるセダム
軽い・手入れが楽と一部で人気のセダム(マンネングサ類)ですが、思わぬ落とし穴があります。それは鳩。飢えた都会の鳩はセダムを食い荒らします。
鳥害が予想される場合は、網を張るなどの工夫が必要で、かえって高くつく危険もあります。
無残なハゲ緑化
日本の都市では、セダムはメンテナンスフリーではありません。放置していると数年後にはご覧のような有様に。
セダム緑化やコケ緑化であっても適切な手入れが不可欠です。
防水工事と屋上緑化は、大阪府守口市の(株)カンボーまで
カンボー都市緑化研究所〒 570-0015 大阪府守口市梶町4-12-5 お問い合わせ